大江戸の侠児
大名屋敷に忍び込んだ次郎吉は御中老に見咎められた。その顔は故郷で次郎吉の帰りを待つおたかにそっくりだった。里心のついた次郎吉は江戸を発って故郷に向った。しかし田舎はひどい飢饉にあえぎ、恋人おたかは身売り寸前だった。次郎吉は江戸で暮そうと弟の吉五郎とおたかを連れて江戸へと旅立った。途中、権の案内で次郎吉の後を追って来た文字春と会い、おたかは酒に酔った文字春の言葉を真に受けて飛びだしてしまった。必死になって探したがみつからず、涙に声もない吉五郎を連れて江戸にもどった。元気のない吉五郎を可哀そうに思った次郎吉は、再び御中老のもとに忍び込み、わけを話して一日だけの姉となってもらう約束をした。約束の日、吉五郎と次郎吉は、御中老には殿様のお声が掛って出られなくなったことを知らずに待っていた。そしてしびれを切らして屋敷前まで来た時、突然駆け出して来た二頭の馬に、吉...
--== 选择主题 ==--