山本周五郎の『赤ひげ診療譚』を原作としたドラマ[1]。当初の企画は、司馬遼太郎原作の『尻啖え孫市』を高橋英樹主演で撮影するものだった[1]。ところがそれを知ったドラマ部長の川口幹夫が「大河に譲ってくれ」と懇願し、振り出しに戻った[1]。企画の吉岡利夫は、日本医師会が往診を取りやめるという話に義憤を感じて『赤ひげ診療譚』のドラマ化を発想した[1]。しかし、黒澤明の映画『赤ひげ』があることから危惧する声が上がり、脚本を依頼した倉本聰も最初は「俺たちがどうやるのよ」という返事だった[1]。吉岡は「黒澤さんの『赤ひげ』は人間として完全すぎる。そんなわけはないと思う。どんな名医だって人間なんだから、もっと人間臭さがあるはずだ」と倉本を説得、主人公をそのような人物として描く方向で制作された 当時は2インチVTRが高価だったためNHK公式で現存している映像は、第1...