第31回芸術祭優秀賞受賞作品。1976年度芸術選奨文部大臣賞受賞対象作品。「倉本聰が原作・脚本を手がけた、東芝日曜劇場の1000回記念番組「幻の町」。当時40代になったばかりの倉本が描く世界が、見る者の心を揺さぶり、日本テレビドラマ史に残る珠玉の作品となった。物語はある地図を手にした老夫婦が、雪の舞う冬の小樽に降り立つところから始まる。樺太からの引揚者である老夫婦(笠智衆・田中絹代)が小樽の知人宅を訪ねた。夫婦は、戦前に20年ほど住んでいた樺太の真岡町の地図を10年かけて作成している。真岡は二人が出会った場所でもあり、大切な思い出も詰まっている土地だ。た旅館で地図をなくしたことに気づく。知人の家に置き忘れていたのだ。娘は恋人(北島三郎)とのデートに行く直前、忘れ物に気づき交番にその地図を届ける。だがそこで、その地図が真岡のものではなく、別の町のものだ...