1947年春、戦後の混乱の真っ只中。世の中は貧しくもたくましく息づいていた。山懸家でもさしたる変化はなく、陽子は女学高の5年生になり、石川スミ子というすばらしい教師に巡り会って楽しい毎日を送っていた。その陽子がスミ子の家に招待された。陽子は憧れの先生から名指しで招待されたことですっかり有頂天になっていた。その晩スミ子から戦死した恋人の話を聞き、妙に大人びた陽子が目撃したものは、寝静まったスミ子の部屋へ忍び入る大男の後姿だった。陽子はその光景を胸の中にしまい決して口にすることはなかった。その頃、陽子の学校には埼玉からやって来る野菜売り・忠次郎(ケーシー高峰)が出入りしていた。職員たちは彼を重宝がるが、陽子ら生徒はスミ子を見つめる忠次郎のイヤラシイ目つきに憤りを感じていた。しばらくして、母親の里子(加藤治子)が陽子を連れておよばれのお礼にとスミ子の家を訪...